アルアルファーアビエィション福島空港運航所のベテラン飛行教官から、訓練生でないと聞けない、とても貴重な情報をお教えします。しっかり学んでください。
「夏の飛行機の外部点検での注意点」
夏には、気温が35℃を超えるような猛暑日が続いたりしますので、通常の季節とは違った注意が必要です。まず、地上においては当然ではありますが、自動車と同様に猛烈な日射による機体の外板の温度上昇です。直射日光にさらされた機体は、外部点検時にはやけどしそうな感じを受けます。そのため、特に動翼のヒンジ部分のチェックなどがおろそかにならないよう、いつも通り確実に外部点検を行う必要があります。
「暑い日はベ−パ−ロックに注意」
暑い日は、地上において「ベ−パ−ロック」が起こる可能性が高くなります。特にインジェクションタイプのエンジンでは、エンジンスタ−トが大変難しくなります。又、始動後であっても、地上滑走や地上での待機中にも「ベ−パ−ロック」が起こる可能性は高くなり、エンジンの回転むらが出ます。そのような場合、ブ−スタ−ポンプがあれば、一時的にONにすることによってスム−スな回転とすることができます。
「エンジンの地上取り扱いの注意」
地上での過度の運転時間によるエンジンのオ−バ−ヒ−トにも注意が必要です。例えば、定期便の出発や到着予定時間を避けたりするなど、地上での待機時間をなるべく少なくするような計画を立てることが望ましいです。又、エンジンランナップにおいて高温のためマグドロが大きくなることがありますが、ミクスチャ−を絞り再度点検する必要があります。
「搭乗者の暑さなどへの対策」
エンジンだけでなく搭乗者も当然暑くなりますので、汗を拭くためのタオルの準備も必要です。流れる汗によって各装置への操作ミスを防ぐための手袋も必要になります。上空では、強い紫外線から目を守るサングラスやUVカットのクリ−ムも必需品です。又、飛行中も汗はいっぱい出ますので水分補給のための準備ももちろん必要です。上空では、フレッシュエア−を取り入れることにより、熱中症などにかからないようにするとは思いますが、少しでも体の不調を感じたら、無理をせず早目に着陸することが肝心です。
「性能の低下に注意」
気温が高いと性能が落ちることも要注意です。特に、高温は離着陸距離には大きな影響が出るため、短い滑走路での運航の場合、燃料や荷物を少なくするなど重量を減らす工夫が必要になります。又、上昇性能も低下するので、山岳地方など高度を必要とするような経路は避けるような計画を立てることが望ましいです。
(おわり)
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